選挙の話1
選挙の種類には大きく分けて国の選挙と地方の選挙があります。
ここに示したのは、国の選挙です。
国の選挙は、衆議院の議員を選ぶ選挙と参議院の議員を選ぶ選挙があります。
それぞれ、2つの選挙が同時に行われますので、合計4つの選挙で国会の議員が選ばれます。
選挙は、国の選挙だけではありません。
栃木県などの都道府県ごとに行われる選挙もあれば、市町村ごとに行われる選挙もあります。
国の選挙と比較して、地方の選挙と呼ばれたりしています。
都道府県の選挙では、知事を選ぶ選挙と、それぞれの議会の議員を選ぶ選挙があります。
市町村の選挙では、各市町村の長を選ぶ選挙と、それぞれの議会の議員を選ぶ選挙があります。
地方の政治は、この長と議会が互いにけん制しあって、適切な運営がなされるようになっています。
国の議員や地方の知事、市町村長は、なぜ選挙で選ばれると思いますか。
日本は民主主義の国です。栃木県も民主主義のルールで政治が動いています。
民主主義というのは、その字のとおり、「民」が「主」である政治のことを言います。
「民」つまり国民や市民が、主役の政治です。
わたしたち、一般の市民が主役となって、国や都道府県、市町村のことを決めていいということです。
逆に言うと、市民を無視して、決めてはいけません。
では、民主主義ではない政治だと、どうなってしまうのか。
昔には、強い権力を持った人、王様などが国を独裁していた時代がありました。
みなさんのことを、よく考えてくれる王様だったらいいですが、そうではなくて自分のことばかり考える王様だったら、王様は贅沢な暮らしをして、市民は苦しい生活をすることになってしまいます。
そんな時代に、自分たちのことは、自分たちが決めるんだ、といって王様と戦った人たちがいて、民主主義が実現しました。
この人たちのおかげで、私たちは、自分たちの暮らす社会を、自分たち自身で決めることができるようになりました。
市民が社会のルールを決めることができるといっても、全員が集まって話し合うわけにはいきません。
昔、古代ギリシャのころには、市民全員が集まって決めていたこともありましたが、やっぱりうまくいかなくて、長い歴史の中で、生み出されたルールが議員や知事、市長などの、私たちの代表者に代わりに話し合ってもらうというものです。
ただ、代表者といっても、権力だとか、お金の力で選ばれた代表者だったら、一般の市民の意見が生かされた話し合いとはいえません。
市民が主役となって決める政治、民主主義とは言えなくなってしまいます。
民主主義は、市民が決める政治ですので、話し合ってもらう代表者も市民が決めなければいけません。
だから、選挙で、代表者を選ぶのです。
行政はどんな仕事をしているのでしょうか。
消防、警察など、皆さんの安全、安心を守る仕事はもちろん、教育や福祉、他にも、道路に水道、産業の振興など、書ききれないほど多くの仕事をしています。
1兆円もあれば、何でもできてしまうのではないかと思ってしまうかもしれませんが、実際にはそうはいきません。
ここに、いくら使ったから、こちらからいくら削らなくてはいけない、といった調整が行われています。
世の中には、たくさんの人がいますので、全ての希望を完璧にかなえることは残念ながらできません。
どこに、どれだけお金をかけて実現させるのかを決めているのが、私達が選挙で選んだ代表者、議員や長です。
予算の中には、皆さんが支払った税金が含まれています。
皆さんが払った大切なお金ですから、当然、大切に使って欲しいと思うはずです。
ですから、選挙という方法で、私たちがきちんと選んだ代表者に話し合って決めてもらうという仕組みになっています。
平成28年の参議院選挙から選挙権年齢が20才から18才に引き下げられましたが、この変更は70年ぶりという歴史的な変更でした。
下の図は、選挙権の変遷をまとめたものです。
皆さんご存じのとおり、戦前は男性しか投票する権利がありませんでした。
第一回衆議院議員選挙執行についての法律が整備された1889年には、納税額が15円以上で、なおかつ25歳以上の男性しか投票する権利が与えられていませんでした。大正時代には男子の普通選挙が実現し、昭和20年に20歳以上の男女平等の普通選挙になりました。これまでの選挙権の拡大は、私たちの先祖である市民が、何年にも渡る活動の後、苦労して勝ち取ったものです。平塚らいてう、市川房枝など聞いたことがあると思います。
ただ、平成28年の参議院選挙からの選挙権年齢の引き下げは、若者である皆さんが自ら選挙権を求めて手に入れたものではありません。
なぜ選挙権が18才からになったのでしょうか?
下のグラフは、人口ピラミッドという、年齢階層別の人口分布を表したグラフです。
これからの社会では、少子高齢化がますます進んでいくと言われています。
実際の試算では、2000年には3.9人で1人の高齢者、2015年には2.2人で1人の高齢者、2040年には1.5人で1人の高齢者を支える社会になると言われています。
そのような社会で、将来の社会を担う若者の役割はますます大きくなっていきます。
将来を担う若者の意見を聴かないで日本の将来を決めていいのか、若い世代に未来の日本の在り方を決める政治に関与してもらいたいという思いが、18歳選挙権にはあるのではないかと思います。
だからこそ、若い世代の皆さん自身が声をあげていく必要があります。
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